わかりやすいディベートのしくみ「1.ディベートの分類」

「わかりやすいディベートのしくみ」シリーズ
英語でのディベートと聞くと、どんなイメージを持ちますか?
「論破」「激しい議論」…そんな緊張感のある場面を思い浮かべる人も多いかもしれません。でも本来のディベートは、相手を言い負かすことが目的ではなく、論理的に考え、伝える力を伸ばすトレーニングです。

学校で英語ディベートの授業がある

大会に向けてもっと練習したい!
この連載では、そんな方たちへ英語ディベートの魅力や上達のコツをわかりやすくお届けします。
今回のテーマは「ディベートの分類とそれぞれの特徴」です。
ディベートの分類と特徴

「ディベート」とひと口に言っても、その形式は多種多様。今回は、ディベートを次の3つの観点で整理します。
準備度(Preparation Level)
形式(Format)
スタイル(Style)
準備度(Preparation Level)
ディベートはまず、準備時間の長さで大きく2つに分けられます。
準備型 | 論題(テーマ)が事前に告知され、数週間〜1年単位で準備する形式。事前リサーチや証拠資料を活用して議論。 |
即興型 | 論題は試合直前(15〜30分前など)に告知。持っている知識のみでその場で柔軟に対応。 |
形式(Format)
次に、具体的なディベートの形式を紹介します。競技の目的や議論の軸の違いに注目すると整理しやすいです。ここでは代表的な4つを取り上げます。
- Policy debate(準備型)
新しい政策の是非をテーマに議論。Cross-Examinationと呼ばれる質問時間が特徴。アメリカの大学で盛んに行われており、年間1つのトピックを深く掘り下げる。 - Public forum debate(準備型)
Policy debate の簡易版。スピーチ時間がPolicy debate より短く、1~2か月ごとにトピックが変わる。 - Lincoln-Douglas debate(準備型)
1対1で行うことが最大の特徴。価値観や倫理観、哲学的テーマに焦点を当てる。アメリカの大統領候補討論会などでも使用されるスタイル。 - Parliamentary debate(即興型)
イギリス議会をモデルにした形式。柔軟な議論形式が特徴で、後述するスタイルも様々にある。
日本国内の大会で採用されている種類
Policy debate | 日本全国英語ディベート連盟(HEnDA)など |
Parliamentary debate | 日本高校生パーラメンタリーディベート連盟(HPDU) パーラメンタリーディベート人財育成協会(PDA)など |
スタイル(Style)
Parliamentary debate はさらに細かくスタイルが分かれます。
名称 | チーム数 | 1チームの人数 | 特徴 |
---|---|---|---|
North American(NA) | 2チーム | 2人 | 北米スタイル。シンプルで競技人口が多い。 |
British Parliamentary(BP) | 4チーム | 2人 | 英国発祥。世界大会で採用。多角的な議論展開が特徴。 |
Asian Parliamentary(Asian) | 2チーム | 3人 | アジア大会で普及。 |
まとめ
ディベートの種類は多岐にわたるため、「自分が伸ばしたい力」を考えながら、挑戦する形式を選ぶことをおすすめします。